それにしても、安倍が従来から約していた'対米依存の脱却'が、このような形で露骨に、躍起になって日本をアメリカ帝国の一部に組み込む体制を意味していたとは !

アラブの歴史とは帝国の歴史である。歴史的には、アラブとユダヤの商人は、現在のアフリカの人々によって、自分たちを奴隷商品にした憎き存在として語られることがある。兎に角、アラブとユダヤの間には長い共存の歴史があったので、アラブはユダヤ系の人々について知り尽くしていたはずだった。が、20世紀に入って、ヨーロッパから来た新しいユダヤ人たちが、アラブの人々がそれまでそれほど知らなかったものを作り出したー国家だ。パレスチナ問題とは近代国家の問題であるといわれる所以である。
ところで大英帝国の時代は、イスラエルが最後のビクトリア朝の植民都市といわれた。つまりヨーロッパ帝国主義のアラブ支配の最後の要塞ということだ。戦後没落した大英帝国にかわって、今日までこのイスラエルに、多大の財政援助と大量の武器供与をおこなってきたのが、アメリカ帝国である。さて今年から、公式に、イスラエル首相と安倍首相の間で武器輸出に関する条約が締結された。事実上アメリカのための集団的自衛権を推進する安倍が、このアメリカを助けるためにイスラエルを武器輸出を積極的に行なうとしているわけである。それにしても、安倍が従来から約していた'対米依存の脱却'が、このような形で露骨に、躍起になって日本をアメリカ帝国の一部に組み込む体制を意味していたとは ! これは、エスタブリッシュメント保守層の安倍支持者達も想像していなかったほどのまさかの裏切りではあるまいか? 安倍を支持しない人々にとっては、疑問と不信感が膨らむばかりだ。安倍さん、結局あなたはだれのために一体何をしたいのか?