古代ギリシャにおいて民主主義は演劇とともに発達したといわれるが、それはどういうことか?

Question. 古代ギリシャにおいて民主主義は演劇とともに発達したといわれるが、それはどういうことか?

Answer.アテネの市場で互いの素性もよく判らないワイワイガヤガヤ、ウロウロウヨウヨが歴史上初めて誕生しました。商業と交通のおかげで言葉の交換が可能となっていったことが大切です。そうして、語る人間にとってもっとも必要なことは、政治をできるかぎり人間的なものにすることでした。(つまりギリシャの神々の立像であれ靖国英霊であれ、このような'超越的なもの'に政治を委ねないことを意味します。) 政治を「人間の基本」(human fundamentals) にできるだけ即したものにする、この「人間の基本」にもっとも即した政治原理、そして実際のありよう、かたちが、小田実の言葉では、<でもくらてぃや>です。この語る <でもくらてぃや>のもとで、語るために必要な修辞学が発展しました。さらに語る劇場が構成されていきます。哲学・思想が古代ギリシャからあらわれました。さて現代の話。この市民の思想をアナーキズムとの思想的連関においてとらえなおすとしたら、こういうこともえるでしょう。たとえば、集団的自衛権の戦争とか、原発やTPPとかでも、これらにかんする決定を、もうはや議会 (国会)だけに委ねることが不可能ならば、 この<でもくらてぃや>がまさに"デモくらえ'に成るというような代補性に、市民の思想が住処とすることも可能です。つまり<選ぶ>という選挙の行き過ぎた間接性にたいして、<語る>市民が自らの力で、国家の最高の決定をなしうる力(クラトス)を、依拠できる自らの直接性に取り戻すということが重要となってくるということではないでしょうか ー ワイワイガヤガヤ、ウロウロウヨウヨと。