二一世紀の集団肖像画の意味

二一世紀の集団肖像画の意味

集団肖像画の傑作は、17世紀のレンブラントの「夜警」でした。帝国の王と貴族ほどには裕福ではなかった、モデルの台頭してきた '市民' たちはお金を出しあって自分たちの姿を描いてもらったのが、集団肖像画の始まり。このようなイメージに夜警国家の意味を読み取ることができます。ここで夜警国家とは、国家の機能を、外敵の防御、国内の治安維持など最小限の夜警的な役割に限定した国家をいいます。さて21世紀に再び貴族の如く現われてきたこの諸国首脳たちは、市民デモを都合よく利用して、集団肖像写真を撮ってもらっているのは、しかし一体なんのために?どうみても、ヒューマニズムからの抗議で集まったとはおもえません。経済の絆の不在を覆い隠すことができなくなったヨーロッパ連合を、これから政治的な絆に置き換えることを告げる21世紀の<帝国>の肖像画?しかしこのような文化的同化主義が、いっそうヨーロッパのなかのイスラムを絶望させていかないのでしょうか?