ブレヒトとはだれか?

ブレヒトとはだれか?

ヨーロッパは「ユリシーズ」で自らを語るとき、どうしても故郷への帰還の言説に依らなければならなりませんでした。さてこの言説がそれを再び書くジョイスに触発した意味は、ロラン・バルトブレヒト叙事劇ー異化効果、衣装、大掛かりな舞台仕掛けーの擁護とパラレルであったことがわかります。それは帰還とは正反対の意味でした。つまりジョイスとバルトは言語へ帰るためには、解釈の帝国から亡命する必要があることを示していたのではなかったでしょうか。どこから来たのかという起源を問うファシズムの問題を解決するために、再び、それを推進した一体構造 (解釈の帝国)に依拠することほど貧困で悲惨なことはありません。