白紙の本 (7)

白状すると、絵を描くときはどうも手が勝手に動くのであります。

目で記憶したものが手に直に伝わるような、

この速度とリズムのなかで、

勇気があればたとえ文法を間違えても、

その場で思い浮かんだ言葉たちを隙間に書き添えてしまうのが

一番よいのです。ですが、厄介なことに、

白紙の本のなかにある、完成させたいという

小さな論理の臆病がそれを許さなくなります。