オーストラリアとはなにか?

‪当時は日本人が五百人もいなかった幼少時代四年間のオーストラリア経験と現在の今とは切り離してはいけないし無理に統合もできない。オーストラリアはアジアの中の西洋といわれるが、その意味はわかるようでわからない。事実上英国から独立しているだけでは足りず、労働党の時代になって白豪主義を廃止して自立しようとした歴史を理解する必要がある。現在は、イラク戦争で顕著に現れた?どうにもならないアメリカへの依存をどうするのだろうかと考えてしまう。(オーストラリア人をみると、彼らとアメリカの関係は、嘗てのアイルランド人とイギリスとの関係を時々思い起こさせる。) また英国のオーストラリアだった時代に絶滅する危機にあったアボリジニとの共存をどうしていくのかというも未解決な問題である。レヴィストロースの仕事はポスト構造主義と非ヨーロッパのポストコロニアリズムから批判されるが、私がシドニーにおいて見ることも考えることがなかった、オーストラリアの砂漠の他者像を呈示してくれたのは、ほかならない、「野生の思考」。私にとっては、認識を開いてくれただけでない。西欧に規定されている全体を絶えず意識しながらどのようにその西欧の限界を超えられるかという生き方を問う本なのである。‬