東京演劇アンサンブル「はらっぱのおはなし」(関根信一演出) の感想文。

はらっぱの詩 ー本多敬

何かを欠いたものからしか、美やドラマが生まれない。
が、「完全な合理主義」の動物や虫だっているはず。
だから動物とか虫であること自体が偉いとは限らない。
何かを欠いた存在こそ欠けてはならないんだ。
記憶の中にはひそひそとまわりを観察する虫の世界があった。舞台へ行く。
風の振動に反応する強い感覚の虫たち。
食欲なき蜘蛛はチョウに朝日の光を贈る。
このチョウは立てないクワガタにダンスの贈り物を。
不良バッタ三匹とカナブンはそれほどひそひそとしておらず、
寧ろ堂々と人間が依拠すべき天を構成していた