「宇沢弘文氏は40年以上前、ベトナム戦争を批判された米国防長官が経済効率性を理由に胸を張ったことに愕然とし、' 言葉に言い尽くせない衝撃を受けた' と語っている。現在これはなにを意味するのか?

高校生の自分は読み切れていませんでしたが、「近代経済学の再検討」が半年ぐらい鞄の中に入っていました。新古典派経済学ケインズが共有する微分概念を幾何学によって説明し、市場の言説を批判している知的構成にワクワクしたものです。「自動車の社会的費用」は、書かれた内容よりも、宇沢弘文氏の書いた姿勢につき動かされました。まだ岩波新書には小田実的な異議申し立ての声があったのですね。そしてTPP問題に直面した今日、あらためて、宇沢氏の「社会的共通資本」の重要性を知る思いであります。

 

宇沢弘文氏は40年以上前、ベトナム戦争を批判された米国防長官が経済効率性を理由に胸を張ったことに愕然とし、' 言葉に言い尽くせない衝撃を受けた' と語っている。以後、平等・公正・正義ではなく、' 稼ぐ 'ことだけを目的とした経済学に批判を投げかけてきた」(日刊ゲンダイ)

 

ベトナム戦争に輸送計画という数学が適用されたことが知られていますが、その数学が呈示している「稼ぐ」経済効率性は、宇沢氏が問題にしているTPPの根底にあることを、この記事ではっきりと理解することができました。'平等・公正・正義'のことは、ロールズサンデルが言っていますから、ここでは別のことをいいます。政治家はかれの捏造する社会の合意を' 経済効率性 'におくとき、あたかも政治の領域の「公共圏」から自らを消滅させてしまうようです。これが大きな問題です。市場を称えるネオリベの政策によって、「社会」が事実上なくなり、さらに「公共圏」も消滅。もし残るのはこの看板たちだけとなったとしたら...わたしは、そしてあなたは、どこへ行けばよいのでしょうか?「ここからは私有地。全員立ち入り禁止」