ファシズムとはなにか?(1) ー表象の問題

ファシズムとはなにか?(1)
ー表象の問題

ロンドンのTATE MODERNで、ウィットゲンシュタインのテクストを利用して表象批判するワークショップに時々参加した。このテーマの意義を理解できずロマン主義的大芸術家の称賛に留まるのが多数派英国人中流。表象批判できるのは、労働者階級出身のイギリス人と外国人。もちろん、表象批判する思考は、イギリス人の性質とは関係がない。そもそも表象とは何か?簡単にいってしまえば、表象とは、例えば、'正しい心をもつ人々が正しい人々'というような観念の結合である。そうして、丸山真男は、'正しい心をもつ人々が正しい人々'と考えたのであった。かれによると、ファシズムを支持した'正しくない人々'が、正しくない心をもつから、(永遠に)'正しくない人々'なのだ。しかし、'正しい心をもつ人々が正しい人々'という観念そのものが、ファシズム的観念ではないだろうか?丸山的言説のように、ファシズムをもってファシズムを批判できるかという疑問がある。結局丸山が行った天皇ファシズム批判程度では天皇ファシズムを批判したことには全然ならなかった。丸山「日本の思想」からは、せいぜい、'正しくない心' (「内なる天皇」)を反省しなさいと説く国民道徳的教化しか出てこない。結論。ファシズムは日本人の性質に還元することができない。そういう表象は批判しなければならない。むしろ、日本ファシズムは、ハンナ・アーレントが行ったように、ドイツやイタリア、イギリスのファシズムと比較した上で普遍的に分析してとらえてみるべき事柄なのである。