オペラ「論語」の構想


オペラを観劇したことがないかもしれませんが、難しいものでは全然ありません。むしろ非常に気楽で筋も頗る単純で、幾分荒唐無稽で、映画の19世紀的な精神に先行して、オペラがありました。ミュージカルよりは知的であります。ところでもし明日、オペラ「論語」を書いてくれといわれたら喜んでお引き受けましょう。「論語」というだけで窮屈に響きますが、観客には、泪する人もいれば笑う人も是非いて欲しいですね。さて私が書くオペラ論語」の世界では、弟子達は自分たちの師が大切な事を喋っていることをたしかに知っておりますが、理解できないままに無駄に時間を過ごしています。その弟子達といえば、あるがままの現在がそれほど重要な価値があるとは信じていません。だから古の言葉に依拠する師の言葉から、束縛された現在から自立せんとする未来の声を聞こうとするのですね。オペラ「論語」の世界の歌手は、黙して慎重に意をくみ取るソプラノ、師の話を利用して勝手に自分のことを喋るアルト、師の言葉を全部逆さまに理解するテノール、誰が師か分からず師の代わりをするバス。師の言葉は子供たちによる合唱隊が歌うことになるでしょう。