居酒屋

ダブリンのパブはやはり、日本の居酒屋と同じ雰囲気で、どちらかというとソフトな右翼的な、でも自分では左翼と思っている、愛郷精神が食ったり飲んだりしています。ジョイスの労作「フィネガンズ・ウエイク」は、そのダブリンの居酒屋を舞台としておりますが、そこでは五十以上外国語が沸騰していて、どちらかというと、インターナショナルな、スターバックス型反居酒屋空間。とはいっても、現実のスターバックスの方は、中流のアメリカ的の、ハイフン付きマルチカルチャリズム(アフリカ系アメリカとかという意味の)のカッコつき異空間ほどの凡庸な似非コスモポリタン。さて懐かしいロンドンのスターバックスは、ユダヤ教の司祭が、信者になりたいアフリカ系の労働者をテストする場所でもありました。
「きみはね、たんに、おなかが減っていて、それでユダヤ教徒になればシナゴーグでただ飯を食べれると思ってるんじゃないだろうね?」
ユダヤ教の教えがカッコイイなあと、惹かれているんす」
「ふーっむ・・・」
「この俺、無理すか?ダメなんだ」
「いやいや、誰でもユダヤ教徒になれる。ただね、手続きが。簡単に考えてもらっちゃ困る。三か月テスト期間をもうけるから、毎日ここにきて、何を感じ何を学んだか、私に三時間言いなさい。その様子をみて私が上司に報告するから」
「三か月って、ローンの返済期間みたいすね?」
「まだだ。その先上司がテストする。さらにその上司が。やはりきみは、たんにおなかが減っていて、それでユダヤ教徒になればシナゴーグでただ飯を食べれるとおもっているんじゃないだろうね。そうでなければなぜなんだろうか?」(と、思索は続くのでした・爆)