THE MIRROR & THE MASK ー ベーコンとベケット

ベーコンはアイルランド生まれで(1909年)、17歳までダブリンにいました。ベケット(1906年生まれ)とたった三歳違うだけです。かれらはともに、主に地主である10%の支配階層を構成するプロテスタントの中流出身でした。レーニンとトロツキーが成行きを注目していた、1916年のEaster Risin、アイルランドが共和国として英国から独立する契機となった大衆蜂起を、ベーコンは七歳のとき、そしてベケットは十歳のときに目撃することになります。ベーコンもベケットも現代世界における崩壊のテーマを共有していますが、或るアイルランドの文芸批評家によると、ほかならない、このテーマは、(彼らの家庭が属した)、アイルランドプロテスタントの政治的没落を意味した、1916年の出来事から生まれたのではないかと分析しています。もちろんアーチストの作品は子供時代の経験から説明し尽くすことはできませんけれど、仮に子供時代の経験の影響が大きいとすれば、七歳のベケットよりも十歳のベーコンの方がトラウマが大きかった可能性があり、作品で表現されている崩壊感もベケットよりはベーコンの方が大きいのかもしれません。しかしどうでしょうか?